万葉集|第12巻の和歌一覧

万葉集の第12巻を一覧にまとめました。

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万葉集第12巻一覧

2841我が背子が朝明の姿よく見ずて今日の間を恋ひ暮らすかも
2842我が心ともしみ思ふ新夜の一夜もおちず夢に見えこそ
2843愛しと我が思ふ妹を人皆の行くごと見めや手にまかずして
2844このころの寐の寝らえぬは敷栲の手枕まきて寝まく欲りこそ
2845忘るやと物語りして心遣り過ぐせど過ぎずなほ恋ひにけり
2846夜も寝ず安くもあらず白栲の衣は脱かじ直に逢ふまでに
2847後も逢はむ我にな恋ひそと妹は言へど恋ふる間に年は経につつ
2848直に会はずあるはうべなり夢にだに何しか人の言の繁けむ或本歌曰うつつにはうべも逢はなく夢にさへ
2849ぬばたまのその夢にだに見え継ぐや袖干る日なく我れは恋ふるを
2850うつつには直には逢はず夢にだに逢ふと見えこそ我が恋ふらくに
2851人の見る上は結びて人の見ぬ下紐開けて恋ふる日ぞ多き
2852人言の繁き時には我妹子し衣にありせば下に着ましを
2853真玉つくをちをし兼ねて思へこそ一重の衣ひとり着て寝れ
2854白栲の我が紐の緒の絶えぬ間に恋結びせむ逢はむ日までに
2855新治の今作る道さやかにも聞きてけるかも妹が上のことを
2856山背の石田の社に心おそく手向けしたれや妹に逢ひかたき
2857菅の根のねもころごろに照る日にも干めや我が袖妹に逢はずして
2858妹に恋ひ寐ねぬ朝明に吹く風は妹にし触れば我れさへに触れ
2859明日香川高川避かし越ゑ来しをまこと今夜は明けずも行かぬか
2860八釣川水底絶えず行く水の継ぎてぞ恋ふるこの年ころを或本歌曰水脈も絶えせず
2861礒の上に生ふる小松の名を惜しみ人に知らえず恋ひわたるかも
2861S岩の上に立てる小松の名を惜しみ人には言はず恋ひわたるかも
2862山川の水陰に生ふる山菅のやまずも妹は思ほゆるかも
2863浅葉野に立ち神さぶる菅の根のねもころ誰がゆゑ我が恋ひなくに或本歌曰誰が葉野に立ちしなひたる
2864我が背子を今か今かと待ち居るに夜の更けゆけば嘆きつるかも
2865玉釧まき寝る妹もあらばこそ夜の長けくも嬉しくあるべき
2866人妻に言ふは誰が言さ衣のこの紐解けと言ふは誰が言
2867かくばかり恋ひむものぞと知らませばその夜はゆたにあらましものを
2868恋ひつつも後も逢はむと思へこそおのが命を長く欲りすれ
2869今は我は死なむよ我妹逢はずして思ひわたれば安けくもなし
2870我が背子が来むと語りし夜は過ぎぬしゑやさらさらしこり来めやも
2871人言の讒しを聞きて玉桙の道にも逢はじと言へりし我妹
2872逢はなくも憂しと思へばいや増しに人言繁く聞こえ来るかも
2873里人も語り継ぐがねよしゑやし恋ひても死なむ誰が名ならめや
2874確かなる使をなみと心をぞ使に遣りし夢に見えきや
2875天地に少し至らぬ大夫と思ひし我れや雄心もなき
2876里近く家や居るべきこの我が目の人目をしつつ恋の繁けく
2877いつはなも恋ひずありとはあらねどもうたてこのころ恋し繁しも
2878ぬばたまの寐ねてし宵の物思ひに裂けにし胸はやむ時もなし
2879み空行く名の惜しけくも我れはなし逢はぬ日まねく年の経ぬれば
2880うつつにも今も見てしか夢のみに手本まき寝と見るは苦しも或本歌發<句>曰我妹子を
2881立ちて居てすべのたどきも今はなし妹に逢はずて月の経ぬれば或本歌曰君が目見ずて月の経ぬれば
2882逢はずして恋ひわたるとも忘れめやいや日に異には思ひ増すとも
2883外目にも君が姿を見てばこそ我が恋やまめ命死なずは一云命に向ふ我が恋やまめ
2884恋ひつつも今日はあらめど玉櫛笥明けなむ明日をいかに暮らさむ
2885さ夜更けて妹を思ひ出で敷栲の枕もそよに嘆きつるかも
2886人言はまこと言痛くなりぬともそこに障らむ我れにあらなくに
2887立ちて居てたどきも知らず我が心天つ空なり地は踏めども
2888世の中の人のことばと思ほすなまことぞ恋ひし逢はぬ日を多み
2889いで如何に我がここだ恋ふる我妹子が逢はじと言へることもあらなくに
2890ぬばたまの夜を長みかも我が背子が夢に夢にし見えかへるらむ
2891あらたまの年の緒長くかく恋ひばまこと我が命全くあらめやも
2892思ひ遣るすべのたどきも我れはなし逢はずてまねく月の経ぬれば
2893朝去にて夕は来ます君ゆゑにゆゆしくも我は嘆きつるかも
2894聞きしより物を思へば我が胸は破れて砕けて利心もなし
2895人言を繁み言痛み我妹子に去にし月よりいまだ逢はぬかも
2896うたがたも言ひつつもあるか我れならば地には落ちず空に消なまし
2897いかならむ日の時にかも我妹子が裳引きの姿朝に日に見む
2898ひとり居て恋ふるは苦し玉たすき懸けず忘れむ事計りもが
2899なかなかに黙もあらましをあづきなく相見そめても我れは恋ふるか
2900我妹子が笑まひ眉引き面影にかかりてもとな思ほゆるかも
2901あかねさす日の暮れゆけばすべをなみ千たび嘆きて恋ひつつぞ居る
2902我が恋は夜昼わかず百重なす心し思へばいたもすべなし
2903いとのきて薄き眉根をいたづらに掻かしめつつも逢はぬ人かも
2904恋ひ恋ひて後も逢はむと慰もる心しなくは生きてあらめやも
2905いくばくも生けらじ命を恋ひつつぞ我れは息づく人に知らえず
2906他国によばひに行きて大刀が緒もいまだ解かねばさ夜ぞ明けにける
2907ますらをの聡き心も今はなし恋の奴に我れは死ぬべし
2908常かくし恋ふれば苦ししましくも心休めむ事計りせよ
2909おほろかに我れし思はば人妻にありといふ妹に恋ひつつあらめや
2910心には千重に百重に思へれど人目を多み妹に逢はぬかも
2911人目多み目こそ忍ぶれすくなくも心のうちに我が思はなくに
2912人の見て言とがめせぬ夢に我れ今夜至らむ宿閉すなゆめ
2913いつまでに生かむ命ぞおほかたは恋ひつつあらずは死なましものを
2914愛しと思ふ我妹を夢に見て起きて探るになきが寂しさ
2915妹と言はばなめし畏ししかすがに懸けまく欲しき言にあるかも
2916玉かつま逢はむと言ふは誰れなるか逢へる時さへ面隠しする
2917うつつにか妹が来ませる夢にかも我れか惑へる恋の繁きに
2918おほかたは何かも恋ひむ言挙げせず妹に寄り寝む年は近きを
2919ふたりして結びし紐をひとりして我れは解きみじ直に逢ふまでは
2920終へむ命ここは思はずただしくも妹に逢はざることをしぞ思ふ
2921たわや女は同じ心にしましくもやむ時もなく見てむとぞ思ふ
2922夕さらば君に逢はむと思へこそ日の暮るらくも嬉しくありけれ
2923ただ今日も君には逢はめど人言を繁み逢はずて恋ひわたるかも
2924世の中に恋繁けむと思はねば君が手本をまかぬ夜もありき
2925みどり子のためこそ乳母は求むと言へ乳飲めや君が乳母求むらむ
2926悔しくも老いにけるかも我が背子が求むる乳母に行かましものを
2927うらぶれて離れにし袖をまたまかば過ぎにし恋い乱れ来むかも
2928おのがじし人死にすらし妹に恋ひ日に異に痩せぬ人に知らえず
2929宵々に我が立ち待つにけだしくも君来まさずは苦しかるべし
2930生ける世に恋といふものを相見ねば恋のうちにも我れぞ苦しき
2931思ひつつ居れば苦しもぬばたまの夜に至らば我れこそ行かめ
2932心には燃えて思へどうつせみの人目を繁み妹に逢はぬかも
2933相思はず君はまさめど片恋に我れはぞ恋ふる君が姿に
2934あぢさはふ目は飽かざらねたづさはり言とはなくも苦しくありけり
2935あらたまの年の緒長くいつまでか我が恋ひ居らむ命知らずて
2936今は我は死なむよ我が背恋すれば一夜一日も安けくもなし
2937白栲の袖折り返し恋ふればか妹が姿の夢にし見ゆる
2938人言を繁み言痛み我が背子を目には見れども逢ふよしもなし
2939恋と言へば薄きことなりしかれども我れは忘れじ恋ひは死ぬとも
2940なかなかに死なば安けむ出づる日の入る別知らぬ我れし苦しも
2941思ひ遣るたどきも我れは今はなし妹に逢はずて年の経ぬれば
2942我が背子に恋ふとにしあらしみどり子の夜泣きをしつつ寐ねかてなくは
2943我が命の長く欲しけく偽りをよくする人を捕ふばかりを
2944人言を繁みと妹に逢はずして心のうちに恋ふるこのころ
2945玉梓の君が使を待ちし夜のなごりぞ今も寐ねぬ夜の多き
2946玉桙の道に行き逢ひて外目にも見ればよき子をいつとか待たむ
2947思ひにしあまりにしかばすべをなみ我れは言ひてき忌むべきものを
2947S1門に出でて我が臥い伏すを人見けむかも一云すべをなみ出でてぞ行きし家のあたり見に
2947S2にほ鳥のなづさひ来しを人見けむかも
2948明日の日はその門行かむ出でて見よ恋ひたる姿あまたしるけむ
2949うたて異に心いぶせし事計りよくせ我が背子逢へる時だに
2950我妹子が夜戸出の姿見てしより心空なり地は踏めども
2951海石榴市の八十の街に立ち平し結びし紐を解かまく惜しも
2952我が命の衰へぬれば白栲の袖のなれにし君をしぞ思ふ
2953君に恋ひ我が泣く涙白栲の袖さへ漬ちてせむすべもなし
2954今よりは逢はじとすれや白栲の我が衣手の干る時もなき
2955夢かと心惑ひぬ月まねく離れにし君が言の通へば
2956あらたまの年月かねてぬばたまの夢に見えけり君が姿は
2957今よりは恋ふとも妹に逢はめやも床の辺去らず夢に見えこそ
2958人の見て言とがめせぬ夢にだにやまず見えこそ我が恋やまむ
2958S人目多み直には逢はず
2959うつつには言も絶えたり夢にだに継ぎて見えこそ直に逢ふまでに
2960うつせみの現し心も我れはなし妹を相見ずて年の経ぬれば
2961うつせみの常のことばと思へども継ぎてし聞けば心惑ひぬ
2962白栲の袖離れて寝るぬばたまの今夜は早も明けば明けなむ
2963白栲の手本ゆたけく人の寝る味寐は寝ずや恋ひわたりなむ
2964かくのみにありける君を衣にあらば下にも着むと我が思へりける
2965橡の袷の衣裏にせば我れ強ひめやも君が来まさぬ
2966紅の薄染め衣浅らかに相見し人に恋ふるころかも
2967年の経ば見つつ偲へと妹が言ひし衣の縫目見れば悲しも
2968橡の一重の衣うらもなくあるらむ子ゆゑ恋ひわたるかも
2969解き衣の思ひ乱れて恋ふれども何のゆゑぞと問ふ人もなし
2970桃染めの浅らの衣浅らかに思ひて妹に逢はむものかも
2971大君の塩焼く海人の藤衣なれはすれどもいやめづらしも
2972赤絹の純裏の衣長く欲り我が思ふ君が見えぬころかも
2973真玉つくをちこち兼ねて結びつる我が下紐の解くる日あらめや
2974紫の帯の結びも解きもみずもとなや妹に恋ひわたりなむ
2975高麗錦紐の結びも解き放けず斎ひて待てど験なきかも
2976紫の我が下紐の色に出でず恋ひかも痩せむ逢ふよしをなみ
2977何ゆゑか思はずあらむ紐の緒の心に入りて恋しきものを
2978まそ鏡見ませ我が背子我が形見待てらむ時に逢はざらめやも
2979まそ鏡直目に君を見てばこそ命に向ふ我が恋やまめ
2980まそ鏡見飽かぬ妹に逢はずして月の経ゆけば生けりともなし
2981祝部らが斎くみもろのまそ鏡懸けて偲ひつ逢ふ人ごとに
2982針はあれど妹しなければ付けめやと我れを悩まし絶ゆる紐の緒
2983高麗剣我が心から外のみに見つつや君を恋ひわたりなむ
2984剣大刀名の惜しけくも我れはなしこのころの間の恋の繁きに
2985梓弓末はし知らずしかれどもまさかは君に寄りにしものを
2985S梓弓末のたづきは知らねども心は君に寄りにしものを
2986梓弓引きみ緩へみ思ひみてすでに心は寄りにしものを
2987梓弓引きて緩へぬ大夫や恋といふものを忍びかねてむ
2988梓弓末の中ごろ淀めりし君には逢ひぬ嘆きはやめむ
2989今さらに何をか思はむ梓弓引きみ緩へみ寄りにしものを
2990娘子らが績み麻のたたり打ち麻懸けうむ時なしに恋ひわたるかも
2991たらちねの母が飼ふ蚕の繭隠りいぶせくもあるか妹に逢はずして
2992玉たすき懸けねば苦し懸けたれば継ぎて見まくの欲しき君かも
2993紫のまだらのかづら花やかに今日見し人に後恋ひむかも
2994玉葛懸けぬ時なく恋ふれども何しか妹に逢ふ時もなき
2995逢ふよしの出でくるまでは畳薦隔て編む数夢にし見えむ
2996しらかつく木綿は花もの言こそばいつのまえだも常忘らえね
2997石上布留の高橋高々に妹が待つらむ夜ぞ更けにける
2998港入りの葦別け小舟障り多み今来む我れを淀むと思ふな
2998S港入りに葦別け小舟障り多み君に逢はずて年ぞ経にける
2999水を多み上田に種蒔き稗を多み選らえし業ぞ我がひとり寝る
3000魂合へば相寝るものを小山田の鹿猪田守るごと母し守らすも一云母が守らしし
3001春日野に照れる夕日の外のみに君を相見て今ぞ悔しき
3002あしひきの山より出づる月待つと人には言ひて妹待つ我れを
3003夕月夜暁闇のおほほしく見し人ゆゑに恋ひわたるかも
3004久方の天つみ空に照る月の失せなむ日こそ我が恋止まめ
3005十五日に出でにし月の高々に君をいませて何をか思はむ
3006月夜よみ門に出で立ち足占して行く時さへや妹に逢はずあらむ
3007ぬばたまの夜渡る月のさやけくはよく見てましを君が姿を
3008あしひきの山を木高み夕月をいつかと君を待つが苦しさ
3009橡の衣解き洗ひ真土山本つ人にはなほしかずけり
3010佐保川の川波立たず静けくも君にたぐひて明日さへもがも
3011我妹子に衣春日の宜寸川よしもあらぬか妹が目を見む
3012との曇り雨布留川のさざれ波間なくも君は思ほゆるかも
3013我妹子や我を忘らすな石上袖布留川の絶えむと思へや
3014三輪山の山下響み行く水の水脈し絶えずは後も我が妻
3015神のごと聞こゆる瀧の白波の面知る君が見えぬこのころ
3016山川の瀧にまされる恋すとぞ人知りにける間なくし思へば
3017あしひきの山川水の音に出でず人の子ゆゑに恋ひわたるかも
3018高湍なる能登瀬の川の後も逢はむ妹には我れは今にあらずとも
3019洗ひ衣取替川の川淀の淀まむ心思ひかねつも
3020斑鳩の因可の池のよろしくも君を言はねば思ひぞ我がする
3021隠り沼の下ゆは恋ひむいちしろく人の知るべく嘆きせめやも
3022ゆくへなみ隠れる小沼の下思に我れぞ物思ふこのころの間
3023隠り沼の下ゆ恋ひあまり白波のいちしろく出でぬ人の知るべく
3024妹が目を見まく堀江のさざれ波しきて恋ひつつありと告げこそ
3025石走る垂水の水のはしきやし君に恋ふらく我が心から
3026君は来ず我れは故なみ立つ波のしくしくわびしかくて来じとや
3027近江の海辺は人知る沖つ波君をおきては知る人もなし
3028大海の底を深めて結びてし妹が心はうたがひもなし
3029佐太の浦に寄する白波間なく思ふを何か妹に逢ひかたき
3030思ひ出でてすべなき時は天雲の奥処も知らず恋ひつつぞ居る
3031天雲のたゆたひやすき心あらば我れをな頼めそ待たば苦しも
3032君があたり見つつも居らむ生駒山雲なたなびき雨は降るとも
3033なかなかに何か知りけむ我が山に燃ゆる煙の外に見ましを
3034我妹子に恋ひすべながり胸を熱み朝戸開くれば見ゆる霧かも
3035暁の朝霧隠りかへらばに何しか恋の色に出でにける
3036思ひ出づる時はすべなみ佐保山に立つ雨霧の消ぬべく思ほゆ
3037殺目山行き返り道の朝霞ほのかにだにや妹に逢はざらむ
3038かく恋ひむものと知りせば夕置きて朝は消ぬる露ならましを
3039夕置きて朝は消ぬる白露の消ぬべき恋も我れはするかも
3040後つひに妹は逢はむと朝露の命は生けり恋は繁けど
3041朝な朝な草の上白く置く露の消なばともにと言ひし君はも
3042朝日さす春日の小野に置く露の消ぬべき我が身惜しけくもなし
3043露霜の消やすき我が身老いぬともまたをちかへり君をし待たむ
3044君待つと庭のみ居ればうち靡く我が黒髪に霜ぞ置きにける
3044S白栲の我が衣手に露ぞ置きにける
3045朝霜の消ぬべくのみや時なしに思ひわたらむ息の緒にして
3046楽浪の波越すあざに降る小雨間も置きて我が思はなくに
3047神さびて巌に生ふる松が根の君が心は忘れかねつも
3048み狩りする雁羽の小野の櫟柴のなれはまさらず恋こそまされ
3049桜麻の麻生の下草早く生ひば妹が下紐解かずあらましを
3050春日野に浅茅標結ひ絶えめやと我が思ふ人はいや遠長に
3051あしひきの山菅の根のねもころに我れはぞ恋ふる君が姿を
3051S我が思ふ人を見むよしもがも
3052かきつはた佐紀沢に生ふる菅の根の絶ゆとや君が見えぬこのころ
3053あしひきの山菅の根のねもころにやまず思はば妹に逢はむかも
3054相思はずあるものをかも菅の根のねもころごろに我が思へるらむ
3055山菅のやまずて君を思へかも我が心どのこの頃はなき
3056妹が門行き過ぎかねて草結ぶ風吹き解くなまたかへり見む一云直に逢ふまでに
3057浅茅原茅生に足踏み心ぐみ我が思ふ子らが家のあたり見つ一云妹が家のあたり見つ
3058うちひさす宮にはあれど月草のうつろふ心我が思はなくに
3059百に千に人は言ふとも月草のうつろふ心我れ持ためやも
3060忘れ草我が紐に付く時となく思ひわたれば生けりともなし
3061暁の目覚まし草とこれをだに見つついまして我れと偲はせ
3062忘れ草垣もしみみに植ゑたれど醜の醜草なほ恋ひにけり
3063浅茅原小野に標結ふ空言も逢はむと聞こせ恋のなぐさに
3063S来むと知らせし君をし待たむ
3064人皆の笠に縫ふといふ有間菅ありて後にも逢はむとぞ思ふ
3065み吉野の秋津の小野に刈る草の思ひ乱れて寝る夜しぞ多き
3066妹待つと御笠の山の山菅の止まずや恋ひむ命死なずは
3067谷狭み嶺辺に延へる玉葛延へてしあらば年に来ずとも一云岩つなの延へてしあらば
3068水茎の岡の葛葉を吹きかへし面知る子らが見えぬころかも
3069赤駒のい行きはばかる真葛原何の伝て言直にしよけむ
3070木綿畳田上山のさな葛ありさりてしも今ならずとも
3071丹波道の大江の山のさな葛絶えむの心我が思はなくに
3072大崎の荒礒の渡り延ふ葛のゆくへもなくや恋ひわたりなむ
3073木綿包み一云畳白月山のさな葛後もかならず逢はむとぞ思ふ或本歌曰絶えむと妹を我が思はなくに
3074はねず色のうつろひやすき心あれば年をぞ来経る言は絶えずて
3075かくしてぞ人は死ぬといふ藤波のただ一目のみ見し人ゆゑに
3076住吉の敷津の浦のなのりその名は告りてしを逢はなくも怪し
3077みさご居る荒礒に生ふるなのりそのよし名は告らじ親は知るとも
3078波の共靡く玉藻の片思に我が思ふ人の言の繁けく
3079わたつみの沖つ玉藻の靡き寝む早来ませ君待たば苦しも
3080わたつみの沖に生ひたる縄海苔の名はかつて告らじ恋ひは死ぬとも
3081玉の緒を片緒に縒りて緒を弱み乱るる時に恋ひずあらめやも
3082君に逢はず久しくなりぬ玉の緒の長き命の惜しけくもなし
3083恋ふることまされる今は玉の緒の絶えて乱れて死ぬべく思ほゆ
3084海人娘子潜き採るといふ忘れ貝世にも忘れじ妹が姿は
3085朝影に我が身はなりぬ玉かぎるほのかに見えて去にし子ゆゑに
3086なかなかに人とあらずは桑子にもならましものを玉の緒ばかり
3087ま菅よし宗我の川原に鳴く千鳥間なし我が背子我が恋ふらくは
3088恋衣着奈良の山に鳴く鳥の間なく時なし我が恋ふらくは
3089遠つ人狩道の池に住む鳥の立ちても居ても君をしぞ思ふ
3090葦辺行く鴨の羽音の音のみに聞きつつもとな恋ひわたるかも
3091鴨すらもおのが妻どちあさりして後るる間に恋ふといふものを
3092白真弓斐太の細江の菅鳥の妹に恋ふれか寐を寝かねつる
3093小竹の上に来居て鳴く鳥目を安み人妻ゆゑに我れ恋ひにけり
3094物思ふと寐ねず起きたる朝明にはわびて鳴くなり庭つ鳥さへ
3095朝烏早くな鳴きそ我が背子が朝明の姿見れば悲しも
3096馬柵越しに麦食む駒の罵らゆれど猶し恋しく思ひかねつも
3097さ桧隈桧隈川に馬留め馬に水飼へ我れ外に見む
3098おのれゆゑ罵らえて居れば青馬の面高夫駄に乗りて来べしや
3099紫草を草と別く別く伏す鹿の野は異にして心は同じ
3100思はぬを思ふと言はば真鳥住む雲梯の杜の神し知らさむ
3101紫は灰さすものぞ海石榴市の八十の街に逢へる子や誰れ
3102たらちねの母が呼ぶ名を申さめど道行く人を誰れと知りてか
3103逢はなくはしかもありなむ玉梓の使をだにも待ちやかねてむ
3104逢はむとは千度思へどあり通ふ人目を多み恋つつぞ居る
3105人目多み直に逢はずてけだしくも我が恋ひ死なば誰が名ならむも
3106相見まく欲しきがためは君よりも我れぞまさりていふかしみする
3107うつせみの人目を繁み逢はずして年の経ぬれば生けりともなし
3108うつせみの人目繁くはぬばたまの夜の夢にを継ぎて見えこそ
3109ねもころに思ふ我妹を人言の繁きによりて淀むころかも
3110人言の繁くしあらば君も我れも絶えむと言ひて逢ひしものかも
3111すべもなき片恋をすとこの頃に我が死ぬべきは夢に見えきや
3112夢に見て衣を取り着装ふ間に妹が使ぞ先立ちにける
3113ありありて後も逢はむと言のみを堅く言ひつつ逢ふとはなしに
3114きはまりて我れも逢はむと思へども人の言こそ繁き君にあれ
3115息の緒に我が息づきし妹すらを人妻なりと聞けば悲しも
3116我がゆゑにいたくなわびそ後つひに逢はじと言ひしこともあらなくに
3117門立てて戸も閉したるをいづくゆか妹が入り来て夢に見えつる
3118門立てて戸は閉したれど盗人の穿れる穴より入りて見えけむ
3119明日よりは恋ひつつ行かむ今夜だに早く宵より紐解け我妹
3120今さらに寝めや我が背子新夜の一夜もおちず夢に見えこそ
3121我が背子が使を待つと笠も着ず出でつつぞ見し雨の降らくに
3122心なき雨にもあるか人目守り乏しき妹に今日だに逢はむを
3123ただひとり寝れど寝かねて白栲の袖を笠に着濡れつつぞ来し
3124雨も降り夜も更けにけり今さらに君去なめやも紐解き設けな
3125ひさかたの雨の降る日を我が門に蓑笠着ずて来る人や誰れ
3126巻向の穴師の山に雲居つつ雨は降れども濡れつつぞ来し
3127度会の大川の辺の若久木我が久ならば妹恋ひむかも
3128我妹子を夢に見え来と大和道の渡り瀬ごとに手向けぞ我がする
3129桜花咲きかも散ると見るまでに誰れかもここに見えて散り行く
3130豊国の企救の浜松ねもころに何しか妹に相言ひそめけむ
3131月変へて君をば見むと思へかも日も変へずして恋の繁けむ
3132な行きそと帰りも来やとかへり見に行けど帰らず道の長手を
3133旅にして妹を思ひ出でいちしろく人の知るべく嘆きせむかも
3134里離り遠くあらなくに草枕旅とし思へばなほ恋ひにけり
3135近くあれば名のみも聞きて慰めつ今夜ゆ恋のいやまさりなむ
3136旅にありて恋ふれば苦しいつしかも都に行きて君が目を見む
3137遠くあれば姿は見えず常のごと妹が笑まひは面影にして
3138年も経ず帰り来なむと朝影に待つらむ妹し面影に見ゆ
3139玉桙の道に出で立ち別れ来し日より思ふに忘る時なし
3140はしきやししかある恋にもありしかも君に後れて恋しき思へば
3141草枕旅の悲しくあるなへに妹を相見て後恋ひむかも
3142国遠み直には逢はず夢にだに我れに見えこそ逢はむ日までに
3143かく恋ひむものと知りせば我妹子に言問はましを今し悔しも
3144旅の夜の久しくなればさ丹つらふ紐解き放けず恋ふるこのころ
3145我妹子し我を偲ふらし草枕旅のまろ寝に下紐解けぬ
3146草枕旅の衣の紐解けて思ほゆるかもこの年ころは
3147草枕旅の紐解く家の妹し我を待ちかねて嘆かふらしも
3148玉釧まき寝し妹を月も経ず置きてや越えむこの山の崎
3149梓弓末は知らねど愛しみ君にたぐひて山道越え来ぬ
3150霞立つ春の長日を奥処なく知らぬ山道を恋ひつつか来む
3151外のみに君を相見て木綿畳手向けの山を明日か越え去なむ
3152玉かつま安倍島山の夕露に旅寝えせめや長きこの夜を
3153み雪降る越の大山行き過ぎていづれの日にか我が里を見む
3154いで我が駒早く行きこそ真土山待つらむ妹を行きて早見む
3155悪木山木末ことごと明日よりは靡きてありこそ妹があたり見む
3156鈴鹿川八十瀬渡りて誰がゆゑか夜越えに越えむ妻もあらなくに
3157我妹子にまたも近江の安の川安寐も寝ずに恋ひわたるかも
3158旅にありてものをぞ思ふ白波の辺にも沖にも寄るとはなしに
3159港廻に満ち来る潮のいや増しに恋はまされど忘らえぬかも
3160沖つ波辺波の来寄る佐太の浦のこのさだ過ぎて後恋ひむかも
3161在千潟あり慰めて行かめども家なる妹いいふかしみせむ
3162みをつくし心尽して思へかもここにももとな夢にし見ゆる
3163我妹子に触るとはなしに荒礒廻に我が衣手は濡れにけるかも
3164室の浦の瀬戸の崎なる鳴島の磯越す波に濡れにけるかも
3165霍公鳥飛幡の浦にしく波のしくしく君を見むよしもがも
3166我妹子を外のみや見む越の海の子難の海の島ならなくに
3167波の間ゆ雲居に見ゆる粟島の逢はぬものゆゑ我に寄そる子ら
3168衣手の真若の浦の真砂地間なく時なし我が恋ふらくは
3169能登の海に釣する海人の漁り火の光りにいませ月待ちがてり
3170志賀の海人の釣りし燭せる漁り火のほのかに妹を見むよしもがも
3171難波潟漕ぎ出る舟のはろはろに別れ来ぬれど忘れかねつも
3172浦廻漕ぐ熊野舟つきめづらしく懸けて思はぬ月も日もなし
3173松浦舟騒く堀江の水脈早み楫取る間なく思ほゆるかも
3174漁りする海人の楫音ゆくらかに妹は心に乗りにけるかも
3175和歌の浦に袖さへ濡れて忘れ貝拾へど妹は忘らえなくに
3175S忘れかねつも
3176草枕旅にし居れば刈り薦の乱れて妹に恋ひぬ日はなし
3177志賀の海人の礒に刈り干すなのりその名は告りてしを何か逢ひかたき
3178国遠み思ひなわびそ風の共雲の行くごと言は通はむ
3179留まりにし人を思ふに秋津野に居る白雲のやむ時もなし
3180うらもなく去にし君ゆゑ朝な朝なもとなぞ恋ふる逢ふとはなけど
3181白栲の君が下紐我れさへに今日結びてな逢はむ日のため
3182白栲の袖の別れは惜しけども思ひ乱れて許しつるかも
3183都辺に君は去にしを誰が解けか我が紐の緒の結ふ手たゆきも
3184草枕旅行く君を人目多み袖振らずしてあまた悔しも
3185まそ鏡手に取り持ちて見れど飽かぬ君に後れて生けりともなし
3186曇り夜のたどきも知らぬ山越えています君をばいつとか待たむ
3187たたなづく青垣山の隔なりなばしばしば君を言問はじかも
3188朝霞たなびく山を越えて去なば我れは恋ひむな逢はむ日までに
3189あしひきの山は百重に隠すとも妹は忘れじ直に逢ふまでに一云隠せども君を思はくやむ時もなし
3190雲居なる海山越えてい行きなば我れは恋ひむな後は逢ひぬとも
3191よしゑやし恋ひじとすれど木綿間山越えにし君が思ほゆらくに
3192草蔭の荒藺の崎の笠島を見つつか君が山道越ゆらむ一云み坂越ゆらむ
3193玉かつま島熊山の夕暮れにひとりか君が山道越ゆらむ一云夕霧に長恋しつつ寐ねかてぬかも
3194息の緒に我が思ふ君は鶏が鳴く東の坂を今日か越ゆらむ
3195磐城山直越え来ませ礒崎の許奴美の浜に我れ立ち待たむ
3196春日野の浅茅が原に遅れ居て時ぞともなし我が恋ふらくは
3197住吉の岸に向へる淡路島あはれと君を言はぬ日はなし
3198明日よりはいなむの川の出でて去なば留まれる我れは恋ひつつやあらむ
3199海の底沖は畏し礒廻より漕ぎ廻みいませ月は経ぬとも
3200飼飯の浦に寄する白波しくしくに妹が姿は思ほゆるかも
3201時つ風吹飯の浜に出で居つつ贖ふ命は妹がためこそ
3202熟田津に舟乗りせむと聞きしなへ何ぞも君が見え来ずあるらむ
3203みさご居る洲に居る舟の漕ぎ出なばうら恋しけむ後は逢ひぬとも
3204玉葛幸くいまさね山菅の思ひ乱れて恋ひつつ待たむ
3205後れ居て恋ひつつあらずは田子の浦の海人ならましを玉藻刈る刈る
3206筑紫道の荒礒の玉藻刈るとかも君が久しく待てど来まさぬ
3207あらたまの年の緒長く照る月の飽かざる君や明日別れなむ
3208久にあらむ君を思ふにひさかたの清き月夜も闇の夜に見ゆ
3209春日なる御笠の山に居る雲を出で見るごとに君をしぞ思ふ
3210あしひきの片山雉立ち行かむ君に後れてうつしけめやも
3211玉の緒の現し心や八十楫懸け漕ぎ出む船に後れて居らむ
3212八十楫懸け島隠りなば我妹子が留まれと振らむ袖見えじかも
3213十月しぐれの雨に濡れつつか君が行くらむ宿か借るらむ
3214十月雨間も置かず降りにせばいづれの里の宿か借らまし
3215白栲の袖の別れを難みして荒津の浜に宿りするかも
3216草枕旅行く君を荒津まで送りぞ来ぬる飽き足らねこそ
3217荒津の海我れ幣奉り斎ひてむ早帰りませ面変りせず
3218朝な朝な筑紫の方を出で見つつ音のみぞ我が泣くいたもすべなみ
3219豊国の企救の長浜行き暮らし日の暮れゆけば妹をしぞ思ふ
3220豊国の企救の高浜高々に君待つ夜らはさ夜更けにけり
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万葉集|第12巻の和歌一覧

万葉集3214番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3214番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3214番について歌番号3214番原文十月|間毛不置|零尓西者|誰里|宿可借益訓読十月雨間も置かず降りにせばいづれの里の宿か借らまし かな読みかむなづき|あままもおかず|ふり...
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万葉集3215番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3215番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3215番について歌番号3215番原文白妙乃|袖之別乎|難見為而|荒津之濱|屋取為鴨訓読白栲の袖の別れを難みして荒津の浜に宿りするかも かな読みしろたへの|そでのわかれを|か...
万葉集|第12巻の和歌一覧

万葉集3216番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3216番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3216番について歌番号3216番原文草枕|羈行君乎|荒津左右|送来|不足社訓読草枕旅行く君を荒津まで送りぞ来ぬる飽き足らねこそ かな読みくさまくら|たびゆくきみを|あらつま...
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万葉集3217番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3217番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3217番について歌番号3217番原文荒津海|吾幣奉|将齋|早座|面變不為訓読荒津の海我れ幣奉り斎ひてむ早帰りませ面変りせず かな読みあらつのうみ|われぬさまつり|いはひてむ...
万葉集|第12巻の和歌一覧

万葉集3202番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3202番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3202番について歌番号3202番原文柔田津尓|舟乗為跡|聞之苗|如何毛君之|所見不来将訓読熟田津に舟乗りせむと聞きしなへ何ぞも君が見え来ずあるらむ かな読みにきたつに|ふな...
万葉集|第12巻の和歌一覧

万葉集3218番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3218番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3218番について歌番号3218番原文々|筑紫乃方乎|出見乍|哭耳吾泣|痛毛為便無三訓読朝な朝な筑紫の方を出で見つつ音のみぞ我が泣くいたもすべなみ かな読みあさなさな|つくし...
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万葉集3203番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3203番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3203番について歌番号3203番原文三沙呉居|渚尓居舟之|榜出去者|裏戀監|後者會宿友訓読みさご居る洲に居る舟の漕ぎ出なばうら恋しけむ後は逢ひぬとも かな読みみさごゐる|す...
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万葉集3219番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3219番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3219番について歌番号3219番原文豊國乃|聞之長濱|去晩|日之昏去者|妹食序念訓読豊国の企救の長浜行き暮らし日の暮れゆけば妹をしぞ思ふ かな読みとよくにの|きくのながはま...
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万葉集3204番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3204番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3204番について歌番号3204番原文玉葛|無行核|山菅乃|思乱而|戀乍将待訓読玉葛幸くいまさね山菅の思ひ乱れて恋ひつつ待たむ かな読みたまかづら|さきくいまさね|やますげの...
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万葉集3220番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3220番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3220番について歌番号3220番原文豊國能|聞乃高濱|高々二|君待夜等者|左夜深来訓読豊国の企救の高浜高々に君待つ夜らはさ夜更けにけり かな読みとよくにの|きくのたかはま|...
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万葉集3205番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3205番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3205番について歌番号3205番原文後居而|戀乍不有者|田籠之浦乃|海部有申尾|珠藻苅々訓読後れ居て恋ひつつあらずは田子の浦の海人ならましを玉藻刈る刈る かな読みおくれゐて...
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万葉集3206番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3206番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3206番について歌番号3206番原文筑紫道之|荒礒乃玉藻|苅鴨|君久|待不来訓読筑紫道の荒礒の玉藻刈るとかも君が久しく待てど来まさぬ かな読みつくしぢの|ありそのたまも|か...
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万葉集3207番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3207番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3207番について歌番号3207番原文荒玉乃|年緒永|照月|不猒君八|明日別南訓読あらたまの年の緒長く照る月の飽かざる君や明日別れなむ かな読みあらたまの|としのをながく|て...
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万葉集3208番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3208番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3208番について歌番号3208番原文久将在|君念尓|久堅乃|清月夜毛|闇夜耳見訓読久にあらむ君を思ふにひさかたの清き月夜も闇の夜に見ゆ かな読みひさにあらむ|きみをおもふに...
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万葉集3209番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3209番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3209番について歌番号3209番原文春日在|三笠乃山尓|居雲乎|出見毎|君乎之曽念訓読春日なる御笠の山に居る雲を出で見るごとに君をしぞ思ふ かな読みかすがなる|みかさのやま...
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万葉集3210番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3210番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3210番について歌番号3210番原文足桧木乃|片山雉|立徃牟|君尓後而|打四鶏目八方訓読あしひきの片山雉立ち行かむ君に後れてうつしけめやも かな読みあしひきの|かたやまきぎ...
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万葉集3211番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3211番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3211番について歌番号3211番原文玉緒乃|心哉|八十梶懸|水手出牟船尓|後而将居訓読玉の緒の現し心や八十楫懸け漕ぎ出む船に後れて居らむ かな読みたまのをの|うつしこころや...
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万葉集3212番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3212番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3212番について歌番号3212番原文八十梶懸|嶋隠去者|吾妹兒之|留登将振|袖不所見可聞訓読八十楫懸け島隠りなば我妹子が留まれと振らむ袖見えじかも かな読みやそかかけ|しま...
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万葉集3213番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3213番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3213番について歌番号3213番原文十月|鍾礼乃雨丹|乍哉|君之行疑|宿可借疑訓読十月しぐれの雨に濡れつつか君が行くらむ宿か借るらむ かな読みかむなづき|しぐれのあめに|ぬ...
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万葉集3182番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3182番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3182番について歌番号3182番原文白妙之|袖之別者|雖|思乱而|赦鶴鴨訓読白栲の袖の別れは惜しけども思ひ乱れて許しつるかも かな読みしろたへの|そでのわかれは|をしけども...
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万葉集3198番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3198番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3198番について歌番号3198番原文明日従者|将行乃河之|出去者|留吾者|戀乍也将有訓読明日よりはいなむの川の出でて去なば留まれる我れは恋ひつつやあらむ かな読みあすよりは...
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万葉集3183番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3183番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3183番について歌番号3183番原文京師邊|君者去之乎|孰解可|言紐緒乃|結手懈毛訓読都辺に君は去にしを誰が解けか我が紐の緒の結ふ手たゆきも かな読みみやこへに|きみはいに...
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万葉集3199番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3199番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3199番について歌番号3199番原文海之底|奥者恐|礒廻従|手運徃為|月者雖經過訓読海の底沖は畏し礒廻より漕ぎ廻みいませ月は経ぬとも かな読みわたのそこ|おきはかしこし|い...
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万葉集3184番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3184番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3184番について歌番号3184番原文草枕|去君乎|人目多|袖不振為而|安萬田悔毛訓読草枕旅行く君を人目多み袖振らずしてあまた悔しも かな読みくさまくら|たびゆくきみを|ひと...
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万葉集3200番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3200番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3200番について歌番号3200番原文飼飯乃浦尓|依流白浪|敷布二|妹之容儀者|所念香毛訓読飼飯の浦に寄する白波しくしくに妹が姿は思ほゆるかも かな読みけひのうらに|よするし...
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万葉集3185番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3185番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3185番について歌番号3185番原文白銅鏡|手二取持而|見常不足|君尓所贈而|生跡文無訓読まそ鏡手に取り持ちて見れど飽かぬ君に後れて生けりともなし かな読みまそかがみ|てに...
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万葉集3201番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3201番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3201番について歌番号3201番原文時風|吹飯乃濱尓|出居乍|贖命者|妹之為社訓読時つ風吹飯の浜に出で居つつ贖ふ命は妹がためこそ かな読みときつかぜ|ふけひのはまに|いでゐ...
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万葉集3186番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3186番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3186番について歌番号3186番原文陰夜之|田時毛不知|山越而|徃座君者|何時将待訓読曇り夜のたどきも知らぬ山越えています君をばいつとか待たむ かな読みくもりよの|たどきも...
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万葉集3187番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3187番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3187番について歌番号3187番原文名付|青垣山之|隔者|數君乎|言不可聞訓読たたなづく青垣山の隔なりなばしばしば君を言問はじかも かな読みたたなづく|あをかきやまの|へな...
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万葉集3188番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3188番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3188番について歌番号3188番原文朝霞|蒙山乎|越而去者|吾波将戀奈|至于相日訓読朝霞たなびく山を越えて去なば我れは恋ひむな逢はむ日までに かな読みあさがすみ|たなびくや...
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万葉集3189番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3189番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3189番について歌番号3189番原文足桧乃|山者百重|雖隠|妹者不忘|直相左右二|訓読あしひきの山は百重に隠すとも妹は忘れじ直に逢ふまでに| かな読みあしひきの|やまはもも...
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万葉集3190番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3190番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3190番について歌番号3190番原文雲居|海山超而|伊徃名者|吾者将戀名|後者相宿友訓読雲居なる海山越えてい行きなば我れは恋ひむな後は逢ひぬとも かな読みくもゐなる|うみや...
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万葉集3191番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3191番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3191番について歌番号3191番原文不欲恵八|不戀登為杼|木綿間山|越去之公之|所念良國訓読よしゑやし恋ひじとすれど木綿間山越えにし君が思ほゆらくに かな読みよしゑやし|こ...
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万葉集3176番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3176番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3176番について歌番号3176番原文草枕|羈西居者|苅薦之|擾妹尓|不戀日者無訓読草枕旅にし居れば刈り薦の乱れて妹に恋ひぬ日はなし かな読みくさまくら|たびにしをれば|かり...
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万葉集3192番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3192番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3192番について歌番号3192番原文草蔭之|荒藺之埼乃|笠嶋乎|見乍可君之|山道超良無|訓読草蔭の荒藺の崎の笠島を見つつか君が山道越ゆらむ| かな読みくさかげの|あらゐのさ...
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万葉集3177番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3177番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3177番について歌番号3177番原文然海部之|礒尓苅干|名告藻之|名者告手師乎|如何相難寸訓読志賀の海人の礒に刈り干すなのりその名は告りてしを何か逢ひかたき かな読みしかの...
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万葉集3193番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3193番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3193番について歌番号3193番原文玉勝間|嶋熊山之|夕晩|獨可君之|山道将越|訓読玉かつま島熊山の夕暮れにひとりか君が山道越ゆらむ| かな読みたまかつま|しまくまやまの|...
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万葉集3178番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3178番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3178番について歌番号3178番原文國遠見|念勿和備曽|風之共|雲之行如|言者将通訓読国遠み思ひなわびそ風の共雲の行くごと言は通はむ かな読みくにとほみ|おもひなわびそ|か...
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万葉集3194番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3194番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3194番について歌番号3194番原文氣緒尓|吾念君者|鶏鳴|東方重坂乎|今日可越覧訓読息の緒に我が思ふ君は鶏が鳴く東の坂を今日か越ゆらむ かな読みいきのをに|あがおもふきみ...
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万葉集3179番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3179番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3179番について歌番号3179番原文留西|人乎念尓|蜒野|居白雲|止時無訓読留まりにし人を思ふに秋津野に居る白雲のやむ時もなし かな読みとまりにし|ひとをおもふに|あきづの...
万葉集|第12巻の和歌一覧

万葉集3195番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3195番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3195番について歌番号3195番原文磐城山|直越来益|礒埼|許奴美乃濱尓|吾立将待訓読磐城山直越え来ませ礒崎の許奴美の浜に我れ立ち待たむ かな読みいはきやま|ただこえきませ...
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万葉集3180番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3180番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3180番について歌番号3180番原文浦毛無|去之君故|朝旦|本名焉戀|相跡者無杼訓読うらもなく去にし君ゆゑ朝な朝なもとなぞ恋ふる逢ふとはなけど かな読みうらもなく|いにしき...
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万葉集3196番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3196番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3196番について歌番号3196番原文春日野之|淺茅之原尓|後居而|時其友無|吾戀良苦者訓読春日野の浅茅が原に遅れ居て時ぞともなし我が恋ふらくは かな読みかすがのの|あさぢが...
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万葉集3181番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3181番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3181番について歌番号3181番原文白細之|君之下紐|吾倍尓|今日結而名|将相日之為訓読白栲の君が下紐我れさへに今日結びてな逢はむ日のため かな読みしろたへの|きみがしたび...
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万葉集3197番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3197番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3197番について歌番号3197番原文住吉乃|崖尓向有|淡路嶋|A怜登君乎|不言日者无訓読住吉の岸に向へる淡路島あはれと君を言はぬ日はなし かな読みすみのえの|きしにむかへる...
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万葉集3167番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3167番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3167番について歌番号3167番原文浪間従|雲位尓所見|粟嶋之|不相物故|吾尓所依兒等訓読波の間ゆ雲居に見ゆる粟島の逢はぬものゆゑ我に寄そる子ら かな読みなみのまゆ|くもゐ...
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万葉集3168番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3168番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3168番について歌番号3168番原文衣袖之|真若之浦之|愛子地|間無時無|吾戀钁訓読衣手の真若の浦の真砂地間なく時なし我が恋ふらくは かな読みころもでの|まわかのうらの|ま...
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万葉集3169番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3169番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3169番について歌番号3169番原文能登海尓|釣為海部之|射去火之|光尓伊徃|月待香光訓読能登の海に釣する海人の漁り火の光りにいませ月待ちがてり かな読みのとのうみに|つり...
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万葉集3170番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3170番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3170番について歌番号3170番原文思香乃白水郎乃|為燭有|射去火之|髣髴妹乎|将見因毛欲得訓読志賀の海人の釣りし燭せる漁り火のほのかに妹を見むよしもがも かな読みしかのあ...
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万葉集3171番の作者・分類|訓読・読み|意味・訳|原文

万葉集3171番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。万葉集3171番について歌番号3171番原文難波方|水手出船之|遥々|別来礼杼|忘金津毛訓読難波潟漕ぎ出る舟のはろはろに別れ来ぬれど忘れかねつも かな読みなにはがた|こぎづるふねの...