万葉集460番の作者・分類、訓読・読み、意味・訳、原文についてまとめます。
万葉集460番について
歌番号
460番
原文
栲角乃|新羅國従|人事乎|吉跡所聞而|問放流|親族兄弟|無國尓|渡来座而|大皇之|敷座國尓|内日指|京思美弥尓|里家者|左波尓雖在|何方尓|念鷄目鴨|都礼毛奈吉|佐保乃山邊<尓>|哭兒成|慕来座而|布細乃|宅乎毛造|荒玉乃|年緒長久|住乍|座之物乎|生者|死云事尓|不免|物尓之有者|憑有之|人乃盡|草<枕>|客有間尓|佐保河乎|朝河渡|春日野乎|背向尓見乍|足氷木乃|山邊乎指而|晩闇跡|隠益去礼|将言為便|将為須敝不知尓|徘徊|直獨而|白細之|衣袖不干|嘆乍|吾泣涙|有間山|雲居軽引|雨尓零寸八
訓読
栲づのの|新羅の国ゆ|人言を|よしと聞かして|問ひ放くる|親族兄弟|なき国に|渡り来まして|大君の|敷きます国に|うち日さす|都しみみに|里家は|さはにあれども|いかさまに|思ひけめかも|つれもなき|佐保の山辺に|泣く子なす|慕ひ来まして|敷栲の|家をも作り|あらたまの|年の緒長く|住まひつつ|いまししものを|生ける者|死ぬといふことに|免れぬ|ものにしあれば|頼めりし|人のことごと|草枕|旅なる間に|佐保川を|朝川渡り|春日野を|そがひに見つつ|あしひきの|山辺をさして|夕闇と|隠りましぬれ|言はむすべ|為むすべ知らに|たもとほり|ただひとりして|白栲の|衣袖干さず|嘆きつつ|我が泣く涙|有間山|雲居たなびき|雨に降りきや
かな読み
たくづのの|しらきのくにゆ|ひとごとを|よしときかして|とひさくる|うがらはらから|なきくにに|わたりきまして|おほきみの|しきますくにに|うちひさす|みやこしみみに|さといへは|さはにあれども|いかさまに|おもひけめかも|つれもなき|さほのやまへに|なくこなす|したひきまして|しきたへの|いへをもつくり|あらたまの|としのをながく|すまひつつ|いまししものを|いけるもの|しぬといふことに|まぬかれぬ|ものにしあれば|たのめりし|ひとのことごと|くさまくら|たびなるほとに|さほがはを|あさかはわたり|かすがのを|そがひにみつつ|あしひきの|やまへをさして|ゆふやみと|かくりましぬれ|いはむすべ|せむすべしらに|たもとほり|ただひとりして|しろたへの|ころもでほさず|なげきつつ|わがなくなみた|ありまやま|くもゐたなびき|あめにふりきや
カタカナ読み
タクヅノノ|シラキノクニユ|ヒトゴトヲ|ヨシトキカシテ|トヒサクル|ウガラハラカラ|ナキクニニ|ワタリキマシテ|オホキミノ|シキマスクニニ|ウチヒサス|ミヤコシミミニ|サトイヘハ|サハニアレドモ|イカサマニ|オモヒケメカモ|ツレモナキ|サホノヤマヘニ|ナクコナス|シタヒキマシテ|シキタヘノ|イヘヲモツクリ|アラタマノ|トシノヲナガク|スマヒツツ|イマシシモノヲ|イケルモノ|シヌトイフコトニ|マヌカレヌ|モノニシアレバ|タノメリシ|ヒトノコトゴト|クサマクラ|タビナルホトニ|サホガハヲ|アサカハワタリ|カスガノヲ|ソガヒニミツツ|アシヒキノ|ヤマヘヲサシテ|ユフヤミト|カクリマシヌレ|イハムスベ|セムスベシラニ|タモトホリ|タダヒトリシテ|シロタヘノ|コロモデホサズ|ナゲキツツ|ワガナクナミタ|アリマヤマ|クモヰタナビキ|アメニフリキヤ
ローマ字読み|大文字
TAKUZUNONO|SHIRAKINOKUNIYU|HITOGOTO|YOSHITOKIKASHITE|TOHISAKURU|UGARAHARAKARA|NAKIKUNINI|WATARIKIMASHITE|OHOKIMINO|SHIKIMASUKUNINI|UCHIHISASU|MIYAKOSHIMIMINI|SATOIHEHA|SAHANIAREDOMO|IKASAMANI|OMOHIKEMEKAMO|TSUREMONAKI|SAHONOYAMAHENI|NAKUKONASU|SHITAHIKIMASHITE|SHIKITAHENO|IHEOMOTSUKURI|ARATAMANO|TOSHINONAGAKU|SUMAHITSUTSU|IMASHISHIMONO|IKERUMONO|SHINUTOIFUKOTONI|MANUKARENU|MONONISHIAREBA|TANOMERISHI|HITONOKOTOGOTO|KUSAMAKURA|TABINARUHOTONI|SAHOGAHAO|ASAKAHAWATARI|KASUGANO|SOGAHINIMITSUTSU|ASHIHIKINO|YAMAHEOSASHITE|YUFUYAMITO|KAKURIMASHINURE|IHAMUSUBE|SEMUSUBESHIRANI|TAMOTOHORI|TADAHITORISHITE|SHIROTAHENO|KOROMODEHOSAZU|NAGEKITSUTSU|WAGANAKUNAMITA|ARIMAYAMA|KUMOITANABIKI|AMENIFURIKIYA
ローマ字読み|小文字
takuzunono|shirakinokuniyu|hitogoto|yoshitokikashite|tohisakuru|ugaraharakara|nakikunini|watarikimashite|ohokimino|shikimasukunini|uchihisasu|miyakoshimimini|satoiheha|sahaniaredomo|ikasamani|omohikemekamo|tsuremonaki|sahonoyamaheni|nakukonasu|shitahikimashite|shikitaheno|iheomotsukuri|aratamano|toshinonagaku|sumahitsutsu|imashishimono|ikerumono|shinutoifukotoni|manukarenu|mononishiareba|tanomerishi|hitonokotogoto|kusamakura|tabinaruhotoni|sahogahao|asakahawatari|kasugano|sogahinimitsutsu|ashihikino|yamaheosashite|yufuyamito|kakurimashinure|ihamusube|semusubeshirani|tamotohori|tadahitorishite|shirotaheno|koromodehosazu|nagekitsutsu|waganakunamita|arimayama|kumoitanabiki|amenifurikiya
左注|左註
右新羅國尼名曰理願也|遠感王徳歸化聖朝|於時寄住大納言大将軍大伴卿家|既逕數紀焉|惟以天平七年乙亥忽沈運病既<趣>泉界|於是大家石川命婦|依餌藥事|徃有間温泉而不會此喪|但郎女獨留葬送屍柩既訖|仍作此歌贈入温泉
事項|分類・ジャンル
挽歌|理願|地名|奈良|枕詞|天平7年年紀
校異
歌【西】謌別筆歌|->尓【西(右書)】【類】【紀】|->枕【西(右書)】【類】【紀】
寛永版本
たくづのの,[寛]たくつのの,
しらきのくにゆ,[寛]しらきのくにに,
ひとごとを,[寛]ひとことを,
よしときかして[寛],
とひさくる[寛],
うがらはらから,[寛]やからはらから,
なきくにに[寛],
わたりきまして[寛],
おほきみの,[寛]すめろきの,
しきますくにに[寛],
うちひさす[寛],
みやこしみみに[寛],
さといへは[寛],
さはにあれども,[寛]さはにあれとも,
いかさまに[寛],
おもひけめかも[寛],
つれもなき[寛],
さほのやまへに[寛],
なくこなす[寛],
したひきまして[寛],
しきたへの[寛],
いへをもつくり[寛],
あらたまの[寛],
としのをながく,[寛]としのをなかく,
すまひつつ[寛],
いまししものを[寛],
いけるもの,[寛]いけるひと,
しぬといふことに[寛],
まぬかれぬ,[寛]まぬかれめ,
ものにしあれば,[寛]ものにしあれは,
たのめりし[寛],
ひとのことごと,[寛]ひとのことこと,
くさまくら[寛],
たびなるほとに,[寛]たひにあるまに,
さほがはを,[寛]さほかはを,
あさかはわたり[寛],
かすがのを,[寛]かすかのを,
そがひにみつつ,[寛]そかひにみつつ,
あしひきの[寛],
やまへをさして[寛],
ゆふやみと[寛],
かくりましぬれ,[寛]かくれましぬれ,
いはむすべ,[寛]いはむすへ,
せむすべしらに,[寛]せむすへしらに,
たもとほり,[寛]たちとまり,
ただひとりして,[寛]たたひとりして,
しろたへの[寛],
ころもでほさず,[寛]ころもてほさす,
なげきつつ,[寛]なけきつつ,
わがなくなみた,[寛]わかなくなみた,
ありまやま[寛],
くもゐたなびき,[寛]くもゐたなひき,
あめにふりきや[寛],
巻数
第3巻
作者
坂上郎女